2.じゅんばん

【no doubt 】




物事にはね、何でも順番ってものがあるんですよ。
たとえば、コップに水を注ぐにしても、最初にコップを持ってこなきゃ水は零れてしまうでしょう。
忍術だって、決められた印を決められた手順で組んでいかないと、術が発動しないでしょう。
それと同じ。
なんでもね、決められた順番ってものがあるんです。
前にも後にも変えられない、そういうものが。
そういうものには、従うしかないんですよ。





―――なら、そう言っていたアンタもそれに従ったってことなんですかね。





Bランクの護衛任務で、依頼主を守ろうとして敵の自爆に巻き込まれたのも。
その跡からは、肉片も、爪のひと欠さえ見付からないような状態になっても。
でも実際、アンタもこうなるなんて少しも思ってなかったんじゃないのかな。
だってずっと、オレの方が先だと思ってた。アンタもそうでしょう?
もしそうなった時、それを聞いたアンタがどんな顔するか、なんてことまでオレは勝手に考えてた。
なのに、どうしてこうなんだろうね。
ねえ、アンタは納得してる?
それが決まっていたことなら。順番だったなら、仕方ないんだと。
でも、オレはとても納得出来そうにないよ。





―――それでもオレは生きていて、アンタは死んだ。





言葉にすれば、たったそれだけのこと。
それは、何をしても変えられない、変えようのない事実。








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