GM SSS

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なんとなく流れで、『もしもタイムマシーンがあったら』という話になった。
こういう話題の時って、人によって過去に行きたいか未来に行きたいか違ってくるものだと思う。
因みに僕は過去に行って恐竜の居た時代に行ってみたいんだ。
だって僕の仲間がたくさん居るからね。

「では、わたくしは未来に行ってみましょうか。未来のわたくしとガチャピンをこっそりのぞいてきましょう」

でも、実際に行くのは一年後でいい、なんてムックは言うんだ。

「一年後でいいの?」
「ええ、それで十分。寧ろわたくし明日や明後日でもいいくらいです」

明日や明後日って・・・そんなの、未来に行く意味がないじゃない?
十年後や百年後に行ってみたい、っていうのならまだわかるけど。
そんな僕の疑問に、ムックは至ってあっさりと答える。

「だって、先のことを全部知ってしまうのはつまらないじゃないですか。ガチャピンとお出掛けする明日と明後日の天気が知れたらそれでいいんです。わたくし、楽しみは後に取っておく方ですから。それに・・・」
「それに?」
「わたくしたち、十年後だろうが百年後だろうが、ずっと一緒に居ると思いませんか」

そう言って、にっと屈託なく笑うムックに僕は咄嗟に言葉が出なかった。
・・・でも、言われてみればそんな気もする。
毎日、笑ったり、怒ったり、時々心配したり、我儘言ったり。
喧嘩したり、また仲直りしながら、僕たちはずっと一緒に居る。
うん、そういう未来ならいいかも。

「そうだよね。僕たちずっと一緒だよね」
「ただ、ガチャピンが明日チョコレートケーキをワンホール買ってくれたら、ずっと一緒に居ること間違いなしだと思うんですよねぇ。わたくしとってもチョコレートケーキが食べたい気分なんです」
「もう、ムックったら」

僕が呆れたような声を出せば、ムックはすごく楽しそうに笑うから。
つられて僕も、明るい声で笑っていた。






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