GM SSS




「ね、ムック気持ちいい?」

少しばかり上ずった声の相手に、そのように尋ねられました。
ベッドの上、一糸纏わぬあられもない姿のわたくしを跨いで、ガチャピンは慣れた手つきで肌を弄っています。
いつもの好青年然とした様子はどこへやら、情欲に塗れた顔―――簡単に言えばいやらしい、と表現するに相応しい顔付きで以て、荒々しく、また性急にわたくしを求めてくるのです。
無意識の内に掴んでいたシーツをはしたなく乱しながら、絶え絶えに荒い息を吐く姿を目にすれば、答えずともわかるでしょうに。
それでもガチャピンはきちんとした言葉の形で聞きたがるのです。
いつもはやさしいのに、この時ばかりはとても意地悪になるのです。

「ねえ、ムック」

じっとりと濡れた呼気に煽られるように、欲に塗れた視線と声。
わたくしを上から覗きこむガチャピンの眼差しに晒されただけで、恥ずかしいような、居た堪れないような、それでも身体がますます熱を帯びるような、複雑な状況に陥るのです。
答えられないのは、そういうこと。
ただ口に出さなくとも、萌していく身体と噛み殺した吐息の甘さですぐにそうとわかるでしょうに。

「ムック」

強請るように、乞うように。
名を呼びながら、ガチャピンの手は滑らかにわたくしの弱い部分をひとつひとつ暴いて、翻弄していくのです。
続く愛撫に、わたくしは自分がとろとろと溶けてかたちを失うバターにでもなったような心地がします。
それが善いか否かなど、今更尋ねなくとももうわかるでしょうに。
意地悪なガチャピンに、わたくしも少々意固地になって。
答える代わりに、目からぽろりと涙を零してみせました。

「わ、ムック?!」

ガチャピンが慌てたように言いましたけれど、一度零れたものはなかなか止まらないものなのです。

「ゴメン、僕が悪かったから泣きやんでよ・・・」

弱りきった声音のガチャピンが涙を指でそっと拭いながら、瞼の上に、頬に、唇に、軽く触れるだけの口吻けを落としてゆきます。
あやすような、宥めるようなそれが、わたくしは嫌いではなくて。
意固地になっていた心が少しずつ、緩やかに解かれていくように感じました。

「・・・・いです」
「え?」
「きもちィ、です、よ」

小声で告げれば、ガチャピンは鳩が豆鉄砲でも食ったような顔をした後、今度は少し困った風に眉を下げて笑いました。
まるで「降参」とでも言いたげな様子に、わたくしはもう恥ずかしくて恥ずかしくて、顔なんてきっと茹蛸のようになっているに違いなかったのですけれど。
でもこんなちょっとした遣り取りが、わたくしはやっぱり嫌いではないと思うのです。







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