GM SSS




ムックとキスをすると、いつも甘い味がする。
イチゴに、レモン。
バニラに、チョコレートに、カスタード。
・・・これは、僕と居る時にムックが食べているお菓子の味。
でも何も食べていなくても、ムックとのキスは甘い。
もう何度も、それこそ数えきれないくらいにキスをしているのに。
今だってほら、唇を合わせているだけてこんなにも、甘い。
ふたりで抱き合って、そっと顔と顔を寄せて。
上質な蜜を味わうみたいに、舌を絡ませ、唾液を混ぜる。
零れる吐息すら、今にもとろりと蕩けてしまうんじゃないか、ってくらいに熱く、甘い。
だから僕はいつだって、唇を離すのが惜しくなってしまう。


「でも、苦いより甘い方が良いでしょう?」


そう、屈託なく笑いながらムックは言う。
それすらも、僕には甘く感じられると知らないで。
止め処ない甘さに惹かれるまま僕はまた唇を寄せる。
そして只管甘いばかりのキスを、ムックとする。





-Powered by HTML DWARF-

inserted by FC2 system